「どうや、彼女は?」

 18年5月6日、野崎氏がことのほか可愛がっていた愛犬イブが亡くなった。悲しみに暮れた野崎氏だったが、翌7日には東京・築地の聖路加国際病院の診察予約が入っていたので、7日の早朝に飛行機で上京している。

 そして旧知の吉田氏には、『明日、イブの葬儀をするから一緒に新幹線で田辺に行ってくれないか』とお願いをしたという。まずは葬儀を執り行い、後日あらためて盛大なお別れの会を開くつもりだという。野崎氏はその日の夜、「ミス・ワールド」と会っている。2度目の“デート”だ。

 翌8日、吉田氏は東京駅の八重洲中央口に待ち合わせ時間の午前7時に到着した。

 その時のことを吉田が振り返る。

「7時少し前にドン・ファンから電話があって『忘れ物をしたので一度ホテルに戻ってから向かいます』と連絡がきました。そこで『定宿にしている六本木のホテルに引き返すのかな。だったら時間がかかりそうだな』と思っていたら、予想よりも早く現れたので驚いたのを覚えています。実は知らなかったのですが定宿を六本木のホテルから皇居近くのホテルに変更していたそうです。そちらのほうが通っていた築地の聖路加国際病院にも近いし、ドン・ファンの好きな銀座も近いので使い勝手が良かったのでしょう。

 その時に、ドン・ファンが普段から持ち歩いている大きなバッグを運んできたのが、背の高い美女でした。黒を基調とした品の良いパンツルックでした。ドン・ファンが『ミス・ワールドや』と言ったので、『これが噂の彼女か』と思いました。スレンダーな美人で顔が小さく、宝塚歌劇団の男役も務まりそうな雰囲気がありました。