連載:幸せな結婚のバランスシート(6)
過去のバランスシートはどうだったか?
結婚生活が年月を経る中で、互いに「相手が変わってしまった」と感じる瞬間が訪れることは少なくありません。
この変化の原因を冷静に分析し、現在の状況と比較するために、過去のバランスシートを作成することはとても有効です。
このプロセスは、会社経営における過去の業績との比較が経営判断の基礎となるように、夫婦関係においても重要な判断材料となります。
現在の関係性がどのように形成されたのかを把握し、双方の関係性をより良くしていくための具体的なアクションを見出すことができます。
1. 過去のバランスシートの作り方
過去のバランスシートは、結婚生活の初期、あるいは特定の節目における状況を再現する作業です。以下の手順を参考にしてください。
1. 時期の選定:どの時期のバランスシートを作成するかを決めます。
バランスシートはライフイベントの発生時に揺らぎやすくなります。
結婚後間もないカップルの場合は結婚初期でいいと思いますが、2人の間で影響度が高いと感じられるイベントが起こる直前(子供が生まれる前、転職する前など)あたりの時期を選ぶといいでしょう。
2. 要素の整理:過去と現在の比較を行うために、以下の6つの軸で状況を整理します。それぞれの軸には特性があり、夫婦関係に異なる影響を及ぼします。
●精神的な支え合い:価値観の変化やマンネリなどの影響を受けやすい軸です。
例えば、相手に対する感謝や思いやりが減少することでバランスが崩れることがあります。
●経済的な分担:キャリア戦略や人生設計の変化などに影響されやすい軸です。
例えば、収入の増減や役割分担の変化が夫婦間の協力体制に影響を与えます。
●時間の使い方:優先順位や断捨離マインド、外注への考え方などに影響される軸です。
時間の使い方に関する意識のズレが、互いの不満を生む原因になることがあります。
●子供に対する責任:子供の性格や特性、または夫婦それぞれの子に対する向き合い方などに影響される軸です。
育児方針の違いや負担の偏りが課題になることがあります。
●実家との関係:双方の両親の健康状態や経済状態などが影響する軸です。
実家との関係性が夫婦間のストレスの原因になることもあります。
●社会的な見栄や期待:結婚時に重視した外見やステータスなどは、同じ感度で資産として認識し続けることが難しくなる軸です。
また、見栄や周囲からの期待が、夫婦関係にプレッシャーを与えることがあります。
3. 記憶を共有する:夫婦で当時の状況を振り返り、それぞれの記憶を共有します。
自分のことなのに、意外と相手の方が覚えていることもよくあります。双方の視点を取り入れることで、より正確なバランスシートを作成できます。