野崎氏の自伝のゴーストライターだったジャーナリストの吉田隆氏もマコやんとはウマが合い、よく田辺市内の安い居酒屋で一緒に酒を飲んだという。

「もし君がやっているのなら自首したほうがいいよ」

 その吉田氏は、野崎氏が亡くなる当日にあたる2018年5月24日、電話で野崎氏と会話をしていることはこれまで何度か触れた。「とにかく田辺に来てください。会った時にお話ししますから」と野崎氏に懇願された吉田氏は、「じゃあ、明日行きます」と返事をしたという。野崎氏が自宅寝室で亡くなっているところを発見されたのは、それから数時間後のことだった。

 その日の夜中、ふと目を覚ました時に、野崎氏宅のお手伝いさん・大下さん(仮名)やマコやんから携帯電話に何度も電話が来ていたことに気づいた吉田氏は2人に連絡をとり、そこで野崎氏が亡くなったことを告げられたという。

 翌日昼、田辺市の野崎氏宅に到着した吉田氏は、大下さんとマコやんから事情を聴いていた。野崎氏が亡くなった時、自宅にいたのは早貴被告と大下さんの2人だけだったという。早貴被告は夜中まで警察に事情を聴かれていたということでこの時はまだ就寝中だったが、14時ごろに起きてきたので、吉田氏は彼女からも詳しく事情を聴いたそうだ。

「ドン・ファンが死亡した様子について、仕事柄、何度も同じことを聴きました。警察の事情聴取よりもしつこかったかも知れません。それでも早貴被告も大下さんも、質問に嫌がらず答えてくれました。

 そこに後からマコやんが加わりました。彼は少し場を和ますような口調で、2人から話を聴いてくれました。

 その集まりは事件翌日の5月25日から毎晩行われました。5日は続いたと思います。そのときにボクは早貴被告に『もし君がやっているのなら自首したほうがいいよ』と何度も進言しましたが、『やっていませんから』と笑って答えるばかりでした。ドン・ファンが亡くなった時に自宅にいたのは早貴被告と大下さんの2人だけでしたが、翌日にボクと会う約束をしていたドン・ファンが自ら命を絶つ可能性は皆無です。それに6月11日にはイブを偲ぶ会を白浜町の高級ホテルで開くことも決まっていて、お客さんを呼ぶのに張り切っていたのですから自殺は考えられません」(吉田氏)