鄙びた昭和のローカル線の面影が
関金温泉の最寄り駅だった関金駅付近から、倉吉線は山間部に入る。直線の線路は一面一線(線路1本に対し、片側ホーム1本のみ)の無人駅・泰久寺駅に至るが、その途中から当時のレールが残存している。
こんな倉吉線の廃線跡をたどるには、まず、線路から近い旧国鉄倉吉線廃線跡観光案内所(金~日曜日および祝日開館、12~2月は閉館)に立ち寄りたい。
筆者の取材には倉吉市観光ガイドも務める金光敏博氏にご案内いただいたが、鉄道ファンである金光氏らが収集した倉吉線運行当時のサボ(列車の側面に掲げられたホーロー製の運行区間標示板)や駅の標示などの貴重な品やミニジオラマがあり、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる。案内所近くには駐車場もあり、散策の拠点に便利だ。
泰久寺駅のホームは、可愛いミニサイズだ。運行当時は列車1両しか乗降できず、他の車両ではドアが開かなかった。
ホームの礎石も当時のままで、コンクリートの端には開通時期を記した刻印も残り、鄙びた昭和のローカル線の面影をよく残している。