会談に臨む自民党の森山幹事長(中央右)と国民民主党の榛葉幹事長(同左)ら=10月31日午前、国会(写真:共同通信社)会談に臨む自民党の森山幹事長(中央右)と国民民主党の榛葉幹事長(同左)ら=10月31日午前、国会(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

憲法改正の現実味は大きく後退

 自公の議席減で大きな影響を受けるのは政局と国民生活だけではない。国政上の大きな政策や国会運営も大荒れになるはずだ。

 例えば憲法改正。近年の肯定的な意見が増え賛否が拮抗するようになっただけではなく、憲法改正の発議に必要な両院でそれぞれ3分の2という、これまでは高いハードルと思われてきた議員定数上の条件を満たすようになっていた。

 数の上では憲法改正の発議に相当近づいていたのである。
 
 報道ではとかく過半数の行方に関心が集まりがちだが、与党をはじめ憲法改正を主張する政党の議席が大きく減ったことで、この間、各社の世論調査などでも拮抗していた憲法改正の発議に必要な条件を満たさなくなった。

 またこれからの政局や不安定化するであろう政権運営を念頭においても、近い政治日程における憲法改正やその前段の発議の現実味は大きく後退した。