国会内で記者会見する国民民主党の玉木代表=29日午前(写真:共同通信社)

(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表)

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比例票を大きく伸ばしたのは立憲ではなく国民だった

 今回、立憲民主党は50議席増と大勝利のように見えるが、比例票は1156万票でなんと7万票しか増えていない。

 投票率自体が約53%で戦後3番目に低いことから分かるように、自民支持者が大量に棄権したこと、60〜70代の怒れる有権者が立憲に流れたことが立憲の議席増の主要因であろう。

 野田代表の演説も9割がた「政治とカネ」で、国民の関心の高い経済の話は極端に少なかった。

 消費税減税が政策にないし、野党共闘もできなかった。自公のような「政党ブロック」形成の動きもない。

 今後、立憲主導型の政権交代は想像し難い。ただ、消費税増税勢力の自民とは「たくさん集めてたくさん配る」基本方針が一致するので、増税連合はあり得ると思う。森山幹事長も大連立は否定しない。

 国民民主党は予想以上に得票した。比例は358万票増の617万票で驚異的だった。

 比例名簿登載者が足りなく3議席を他党に譲るオマケもついた。

 政策も以前はガソリン税減税や原発政策で支持基盤の自動車総連、電力労連の代弁が目立ったが、今回は玉木雄一郎代表の発信力で20〜30代のZ世代・α世代の心を掴んだ。

「手取りを増やす」というキャッチコピーは分かりやすい。減税系の政策はマクロ政策としても筋が良い。