公共交通サービス水準を地図上で可視化する欧州

 さらに、上に挙げた国土交通省の指標では、駅や停留所からの「一定範囲」となっていて、具体的にどの程度かは明示されていない。計算例で1kmや500mといった例示があるのみである。

「住んでいる場所」あるいは「目的地」の観点でみれば、駅や停留所に近ければ近いほど、公共交通の利便性は高くなる。逆に、駅や停留所から離れれば離れるほど利便性は下がるし、ある程度の距離を超えてしまうと日常では使いたくとも使えなくなってしまう。

オーストリアで用いられているPTSQCによる公共交通サービス水準の分類(FLADEMOプロジェクト報告書より抜粋)オーストリアで用いられているPTSQCによる公共交通サービス水準の分類(FLADEMOプロジェクト報告書より抜粋)
拡大画像表示

 この性質を十分に加味して、地図の上に表示できる形で、「公共交通のサービス水準」を議論に使える形で上手にクラス分け・分類する手法を開発し発展させてきたのが、スイスとオーストリアである。

 これらの国々ではこの指標が全国で計算されていて、さらにドイツなど近隣諸国へと展開する作業も現在進んでいる。

 この分類法を、ドイツ語で ÖV-Güteklasse (ÖVはÖffentlicher Verkehr の頭文字で、公共交通を指す)、英語では Public Transport Service Quality Classificationの頭文字からPTSQCと呼んでいる。次回は、これを詳しく紹介したい。