金融市場の反応<メインシナリオ>

 現状のところ、筆者は円安・株高・債券高(金利低下)を想定する。

 まず、リスクオフの円高と言われたのはもはや昔の話であり、近年、日本への不安はストレートに円売りに現れやすい。自公過半数を押さえることができても、自民党の党勢失速が悲観される中、為替の反応は円安に振れると考えておきたい。

 株に関しては難しい部分もある。勝敗ラインが一応確保され、様々な報道で与党勝利との見出しが立つ中、ファーストリアクションはご祝儀的な株高を想定しておきたいとは思う。

 だが、金利の反応次第ではその限りではあるまい。実際、債券市場の反応は悩ましい。

「自民党・公明党が過半数維持(自民党単独では過半数割れ)」という結果は見方を変えれば「公明党への依存度が高まる」という結果に読み替えられる。必然的に現金給付に象徴されるばら撒き型の拡張財政路線に歯止めがかからないという思惑は強まりやすく、円金利が上昇(債券価格が下落)するという展開も十分考えられる。

 既に公明党が提唱する低所得世帯への10万円給付案が取りざたされている。これで何度目かと辟易せざるを得ない事案だが、自民党単独での過半数が絶望視されている状況下、この案は与党内で現実味を帯びるはずだ。金利上昇から株安というリアクションも十分想定される。