「金利低下&株高」と「金利上昇&株安」のどちらになるか?

 もっとも、辛うじて世論の信認を取り付けたに過ぎない石破政権からすれば、金利上昇は極力許容したくないというのが本音だろう。金利上昇は変動金利による住宅ローンの返済負担を重くし、株安もセットで促すことになる。

 新NISA稼働を契機として資産効果が少しずつ拡大していると考えられる日本において、こうした相場変動は時の政権支持率に良い影響を与えまい。

 かかる状況下、石破政権は緩やかな金融政策の正常化ペースを望むだろう。その結果、金利は低位安定すると筆者は予想している。

 もちろん、繰り返しになるが、上記の給付金や各種補助金のような目先の世論に迎合する拡張財政路線が露骨になれば、円金利は逆に上昇するかもしれない。その場合、株価も連れ安になるリスクはある。株、金利の見通しはメインシナリオ通りに事態が進んだとしても流動的である。

 こうした状況をまとめると、「自民党・公明党が過半数維持(自民党単独では過半数割れ)」となった場合の金融市場のファーストリアクションとして、円安は堅いとしても「金利低下&株高」と「金利上昇&株安」のどちらの可能性が高いのかは正直読みが難しい。

 一応は経常黒字国の日本の場合、財政懸念からの金利上昇はまだメインとはなりづらく、「円安・株高・金利低下」になるではないかと筆者は想定している。

1ドル160円台まで進んだ円安だが、選挙後の為替相場はどうなるだろうか。唐鎌氏はメインシナリオ、リスクシナリオのいずれにしても「円安は堅い」と見ている(写真:共同通信社)1ドル160円台まで進んだ円安だが、選挙後の為替相場はどうなるだろうか。唐鎌氏はメインシナリオ、リスクシナリオのいずれにしても「円安は堅い」と見ている(写真:共同通信社)