一方に対する侵略があった場合、相互に支援を行う

 今年6月、平壌を訪れたウラジーミル・プーチン露大統領と金正恩朝鮮労働党総書記は相互防衛条項を含む包括的な戦略的パートナーシップ協定に署名した。プーチンは「一方に対する侵略があった場合、相互に支援を行うことを定めた条項が含まれている」と述べた。

今年6月、プーチン大統領(左)から贈られた高級車のハンドルを握りご満悦の表情を見せる金正恩総書記=平壌(朝鮮中央通信=共同)
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 米国政府が運営する海外向け放送ボイス・オブ・アメリカは当時「この動きはロシアの対北朝鮮政策の大転換を意味し、ソ連崩壊後に廃止された相互防衛条約が復活する可能性もある」と伝えている。金正恩は、両国関係は“同盟”レベルにまで高まったと胸を張った。

 戦前は北朝鮮の核兵器開発に反対してきたプーチンだが「国防・技術分野における協力がさらに発展する可能性を排除しない」と方針転換。ソ連時代のような同盟関係を復活させる試みだとの分析と、この関係が将来にわたって継続するか見極める必要があるとの慎重な見方が交錯する。

 北朝鮮はウクライナ東部ドネツク州の占領地域でロシア軍を支援するため工兵部隊を派遣したとみられる。10月3日、ロケット弾攻撃によりドネツク近郊で20人以上が死亡し、北朝鮮の将校6人が含まれていた。さらに北朝鮮の兵士3人が負傷したとキーウ・ポスト紙が報じている。