10月21日、オーストラリアを訪問し、議会のレセプションに出席したイギリスのチャールズ国王とカミラ王妃(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
拡大画像表示

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「私たちの民族に対して大虐殺を行った」

[ロンドン発]「お前は私の国王じゃない。私たちの国王でもない。植民地などクソ食らえだ」

 英連邦王国の一つ、オーストリアを訪問中のチャールズ国王とカミラ王妃は10月21日、オーストラリア議会でアボリジニ(先住民)のリディア・ソープ上院議員から罵声を浴びせられた。

10月21日、オーストラリアの国会議事堂で、訪問中のチャールズ国王を罵倒する、アボリジニのリディア・ソープ上院議員(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
拡大画像表示

「お前たちは私たちの民族に対して大虐殺を行った。私たちの土地を返せ。私たちから盗んだもの、私たちの骨、私たちの頭蓋骨、私たちの赤ちゃん、私たちの人々を返せ。私たちの土地を破壊したのだから、(オーストラリア政府は)協定を結べ。ここはお前たちの土地ではない」

 ソープ上院議員が言及した協定とは、オーストラリア政府が先住民の土地が歴史的に奪われたことを認め、先住民コミュニティーの土地の権利、賠償、自決、主権といった問題に取り組むための枠組みを提供することを目的としたものだ。

 オーストラリアと同じ英連邦王国のニュージーランドやカナダでは土地の使用や権利、その他の主権に関する協定が政府と先住民グループとの間の法的合意として存在する。オーストラリアは先住民との正式な協定を結んでいない数少ない入植地国家の一つだ。