土地を奪われた先住民の主権国家として認めよ

 ソープ上院議員は、協定は過去の不正を正した上で、先住民の権利を確保し、意味のある和解を達成するための道だと主張している。単に先住民を既存の政治構造の中に組み込むのではなく、土地を奪われた主権国家として認めることの重要性を強調している。

 チャールズ国王が2年前に即位して以来初のオーストラリア訪問は衝撃的な展開となった。オーストラリアでは英国の君主を仰がず、共和制に移行する是非を問う国民投票が1999年に行われ、賛成45%、反対55%で退けられた。しかし英連邦王国はもはや歴史の遺物でしかない。

 昨年9月に行われたユーガブ(YouGov)の世論調査では「君主を捨て、できるだけ早く共和制に移行する」ことを望むオーストラリア国民は32%。「チャールズ国王が亡くなってから共和制に移行する」が12%。「長期的に立憲君主制を継続する」と考えているのは35%だった。

 歯に衣着せぬ発言と政治的な行動力で支持を集めるソープ上院議員は22年、エリザベス女王の死を悼むナショナルデーに、手を偽の血で染めてデモ行進し、植民地主義の「負」の遺産に抗議した。議会での英君主への宣誓でも拳を上げて反対意見を述べ、メディアの注目を集めた。

「お前は私たちの国王じゃない」と豪州訪問中の英国のチャールズを罵倒した後、議事堂から連れ出されるリディア・ソープ上院議員(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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