カナダではビクトリア女王やエリザベス女王の像が引き倒された
カナダでは21年にビクトリア女王やエリザベス女王の像が先住民によって引き倒される事件が起きている。先住民の子どもたちを家族から引き離し同化教育を強制したカナダの寄宿学校跡地から大量に子供たちの遺骨が見つかったのが発端だった。
白人警官による黒人暴行死事件に端を発した20年の抗議運動「ブラック・ライブズ・マター」で奴隷制という米国の暗黒の歴史に改めてスポットライトが当てられた。南北戦争で南部連合の軍司令官を務めたロバート・E・リー将軍の記念像や南軍兵士の追悼記念碑が撤去された。
英国でも奴隷貿易や植民地支配に関わった歴史上の偉人の記念像が次々と引き倒された。チャールズ国王は英国の奴隷貿易や植民地支配によって引き起こされた悲劇に対する悲しみと深い遺憾の意を表明しているものの、正式な謝罪や賠償は慎重に避けている。
22年、ウィリアム皇太子(当時はまだ王子)とキャサリン妃がカリブ海に浮かぶベリーズ、ジャマイカ、バハマの英連邦王国を歴訪した際も凄まじい逆風に見舞われた。ジャマイカでも共和制に移行する動きが強まり、奴隷貿易の歴史に対する謝罪と賠償を求める声が渦巻いている。