「奴隷制という恐るべき残虐行為」
バルバドスは21年、エリザベス女王を君主に仰ぐのを止め、共和制に移行した。独立55周年と同時に行われた式典に出席したチャールズ皇太子(当時)は「奴隷制という恐るべき残虐行為」を認めた。しかしパンドラの箱を開けるのを恐れ、歴史の当事者としての謝罪はしなかった。
チャールズ国王は皇太子時代の1983年、ダイアナ皇太子妃(故人)とオーストラリアツアーを行い、旋風を巻き起こした。しかしダイアナ妃の人気が爆発的で、やっかんだ皇太子との間で摩擦が生じたとダイアナ妃は後に振り返っている。
今年2月、がんと診断されたチャールズ国王は英連邦政府首脳会議のためサモアに向かう。カリブ諸国の首脳は英国に対し、奴隷貿易における役割や気候変動によって島々に生じた損害に対する賠償金を支払うよう改めて求めると予想される。チャールズ国王の心労は相当なものだろう。
欧州連合(EU)離脱によって欧州諸国の外交的支援を失い、経済も失速する。エリザベス女王の死去で英国最大のソフトパワーを失った。チャールズ国王だけでなく、キャサリン皇太子妃もがんと診断され、英国は今にも倒れそうになっている。