(国際ジャーナリスト・木村正人)
イスラエルとイランの緊張はピークに
[ロンドン発]昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザのイスラム武装組織ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けてから1年。この間に戦争は拡大し、イランが4月のイスラエルに対する一斉攻撃に続き、10月1日に180発以上の弾道ミサイルを発射したことで、イスラエルとイランの緊張は再びピークに達している。
「10・7」テロでハマスはイスラエル市民約1200人を殺害、251人を人質に取った。うち97人は今も解放されておらず、約3分の1はすでに死亡したとみられている。イスラエルによる報復は激しかった。ハマスが運営する保健省によると、ガザでは約4万1000人が死亡。190万人が避難民になった。
イスラエルは徹底したハマス殲滅作戦を継続するとともに、“イラン別働隊”のレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師を空爆で殺害、イエメンの親イラン武装組織フーシ派を弱体化させ、背後にいるイランと全面対決の様相を強める。
米紙ワシントン・ポスト(10月5日付)は「イランにとり抵抗の枢軸が機能しないのなら唯一頼れるのは核抑止力。核兵器開発を決断する可能性が高まった」という米シンクタンク「科学国際安全保障研究所」(ISIS)のデービッド・オルブライト所長の分析を伝えている。