イランは自分を守るチェス盤の駒が使えなくなった

 イラン専門家で米ジョージ・ワシントン大学のシーナ・アゾディ講師は「ヒズボラはイランが作り出した民兵組織で最も成功したチェス盤のクィーン。ヒズボラ弱体化はイランをより無防備にしている。イスラエルが地域でより自由に行動できるようになるからだ」と同紙に語っている。

 これまでイランは核兵器開発を取引材料にして西側の譲歩を引き出していた。しかし自分を守るチェス盤の駒であるハマス、ヒズボラ、フーシ派がイスラエルの攻撃で使えなくなったことで、核抑止力を手に入れようとする可能性が高いとの見方が強まる。

イラン・イスファハンの核施設=2005年3月30日(提供:Reuters TV/ロイター/アフロ)
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 イランの核兵器・弾道ミサイル開発、制裁回避の動きを追跡しているサイト「イラン・ウォッチ」は、イランの核開発計画について「約1週間以内に核分裂兵器5発分の濃縮ウランを生産できる段階にまで達している」と指摘する。

 より強力な遠心分離機の設置でイランのウラン濃縮能力は急速に向上、秘密施設が増加するリスクも高まる。しかし核兵器の脅威となるためにはさらに処理を行う必要があり、兵器として成功させるには数カ月から1年以上かかる可能性があるが、「その期間は不確定」という。