「市民派」の前尼崎市長、稲村は8日に出馬会見

 その政治姿勢のルーツには、1995年の阪神・淡路大震災で学生ボランティア団体を立ち上げて活動したことや、「市民派」尼崎市議から初の女性市長となった先代の白井文を支えた経験がある。

次期知事選に出馬予定の稲村和美・前尼崎市長(左)。写真は2022年11月20日の尼崎市長選で、自身の後任となる松本眞氏(右)が当選したときのもの

 大阪の維新旋風が兵庫にも及んでいた2022年の尼崎市長選では、市教育長だった元文科官僚の松本眞を後継指名して支援し、維新の対立候補を大差で退けた。維新への対抗策に苦慮していた大阪のある自民党市議は、その戦略を見て「維新に勝つには自民党より市民党だと確信した」と私に語っていた。

 また、稲村は斎藤の知事就任以前、大阪府財政課長だった当時から連絡を取り合っていた。私は今年8月、月刊誌『世界』のルポを書くため稲村にじっくり取材し、斎藤の人物像や兵庫県政の問題を聞いたが、その時点で既に次期知事選候補に名前が挙がっていた。その件にはもちろん「ノーコメント」だったが、来週10月8日には正式に出馬会見を開くことが決まった。

 斎藤、清水、中村、稲村に加え、共産党が推薦する医師の大澤芳清、元加西市長の中川暢三。そして──。「知事の資質」と「県政の再建」が問われる兵庫県知事選は現時点から混戦模様で、先々の波乱をも予測させる。