「マスコミは信じない。一次情報のXを信じる」とはっきり語る支持者もいる。議会やマスコミ批判のネット動画で注目を集め、東京都知事選で165万票を得て次点に入った石丸伸二や、その選挙スタッフがネット戦略を仕掛け、自民党総裁選で支持を広げたといわれる高市早苗を思わせる。あるいは、トランプ現象に象徴される「アメリカの分断」にも通じるような——。

 古い既得権益を象徴する県議会・県庁・マスコミ。そこへたった一人で闘いを挑む若き前知事。この構図を強調するところに、斎藤は勝機を見出しているように思える。

県議会には斎藤をあきらめきれない声も

 斎藤本人は何を争点にし、訴えたいのか。駅立ち終了後の囲み取材で聞くと、こう語った。

「私としては、3年間やってきた改革を続けさせてほしい。県立大学の授業料無償化、若い世代への応援施策など、今まさに前へ進め始めたところなので、その流れを止めずに広げていくことが大事だ。そのためには行財政改革がこれからも必要だと訴えていきたい」

 だが、問われているのは「政策」ではなく、知事の「資質」だ。別の記者がそこを問うた。

「文書問題で改善すべき点や学んだ点もある。県職員や県議会との信頼関係、コミュニケーションをどう再構築していくか。自分のやりたい施策の意図や意義をもっと丁寧に説明し、合意形成していくプロセスがもっともっと必要だったと反省している。今後はプロセスを大事にするということを県民の皆さまに伝えていきたい」

20年ぶりの知事交代となった2021年知事選で街頭に立つ斎藤氏。元副知事らとの争いを制したが…

 基本的に従来のスタンスと変わらないが、こう語る斎藤をあきらめきれない声が、全会一致で不信任を突き付けた県議会の中にもある。前回選挙で斎藤を担いだ自民や維新の一部県議たちだ。そのうちの一人はこう主張する。