(篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト)
猛暑、豪雨、台風…日常化する異常気象
猛暑や酷暑の続いた今年の夏もようやく終わった。振り返ってみれば、今年も暑熱により熱中症になる人が後を絶たず、炎天下での救急搬送が頻繁に見られた。
連日の暑さもさることながら、線状降水帯の発生などにより各地で大量の雨が降り、土砂崩れや河川の氾濫、住宅地の浸水などの災害が続いたことも特徴的だった。
8月下旬には、勢力が強く動きの遅い台風10号により、広範囲で暴風や大雨の被害が発生した。直接の被害だけではなく、東海道新幹線が3日連続で計画運休するなど、交通インフラのまひが相次ぎ、多くの人が影響を受けた。
9月21日には、能登半島を記録的豪雨が襲い、河川が次々に氾濫して甚大な被害に至った。土砂崩れや河川の越水により多くの尊い人命が失われ、安否不明者の捜索が続けられている。停電・断水など各地でライフラインの途絶が続いており、避難生活をしている人も多数に上っている。
元日に発生した能登半島地震からの復興途中での被災に住民からは「心が折れた」との声も聞かれる。被災された方々が安心できる生活が一日も早く戻ることを、心から願いたい。
近年、このような猛暑、豪雨、台風などの異常気象は日常化しつつある。その背景には、気候変動による地球温暖化があるとされる。今回は、異常気象の現状や将来予測、気候変動との関係について見ていきたい。