秋に入っても残暑、豪雨の発生に注意が必要

 WMOは、毎月向こう3カ月の世界の気象について「Global Seasonal Climate Update」として予測・公表している。8月下旬に公表された予測では、2024年9月~11月の気温や降水量の見通しが示されている。

 気温については、南米南部の沿岸地域を除くほぼ全ての陸域で平年より高い気温が予想されている。日本も平年より高いと予想されている。

秋になっても日傘は手放せない(写真:共同通信社)

 降水量については、平年より多い地域や少ない地域があると予測している。アジアでは、平年を超える降水確率が高まる地域としてインド亜大陸や、ベーリング海とアラスカ湾まで北東に延びる東アジア沖の帯状の地域が挙げられている。日本はこの地域に含まれている。

 今年は、秋に入っても平年より気温が高く、降水確率が高い日が続くものとみられる。まだ当分の間は、残暑や豪雨の発生に注意が必要だと言えるだろう。

【参考資料】
「IPCC第3次評価報告書」「IPCC第5次評価報告書」(IPCC)
“Guidelines on the Definition and Characterization of Extreme Weather and Climate Events”(WMO,2023 edition)
“Global Seasonal Climate Update”(WMO)
「日本の気候変動2020」(文部科学省、気象庁/2020年12月)
『極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか─気象の仕組みを理解し、地球温暖化との関係をさぐる』(川瀬宏明著/DOJIN選書、株式会社化学同人/2021年)

【篠原拓也(しのはら・たくや】
ニッセイ基礎研究所主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト。1969年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、1992年に日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスク評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に『できる人は統計思考で判断する』(三笠書房)がある。