「スーパー台風」の襲来がますます増える恐れ

【熱帯低気圧について】

●観測事実
・台風の発生数、日本への接近数・上陸数に長期的な変化傾向は見られない。
・台風の強度に長期的な変化傾向は見られない。北西太平洋域では、台風の強度が最大となる緯度がやや高緯度側へ移動する傾向が見られる(確信度は低から中程度)。

●将来予測
・世界では全熱帯低気圧に占める非常に強い熱帯低気圧の割合が増加する(確信度は高から中程度)。
・日本付近の台風の強度は強まる(確信度が中程度)。日本付近の台風に伴う雨の年間総量に変化はないが、個々の台風の降水量は増加する(確信度が中程度)。

 台風の観測事実については、数、強度について長期的な変化傾向は見られないとしている。これは、一般的な感覚とは異なっているかもしれない。

 一般に台風の襲来は、心理的なインパクトが大きい。このため、8月下旬に発生した台風10号のような勢力の強い台風を経験すると、「台風は年々増え、強度も増している」という感覚を抱きがちだ。だが、観測事実を踏まえると、この感覚はやや台風の脅威を過大評価していると言えるかもしれない。

 ただし、強度が最大となる緯度が北にシフトするとしている観測事実には留意すべきだろう。台風が北に進んでも弱まらずに発達を続けるようになっている、という点は北日本に被害をもたらす台風が出やすくなっていることを示唆している。

 将来予測については、世界で非常に強い熱帯低気圧の割合が増加し、日本付近でも台風の強度が強くなることや、個々の台風での降水量が増加することが特徴的だ。今後ますますスーパー台風の襲来が増えるであろう点に注意が必要となる。