「1日200mm以上」の大雨が降る日数が約2.3倍になるとの予測も

【降水について】

●観測事実
・日本の年降水量には、統計的に有意な長期変化傾向は見られない。
・日本国内の大雨及び短時間強雨の発生頻度は有意に増加し、降水の観測される日は有意に減少している。

●将来予測
・21世紀末の日本の年降水量には、20世紀末と比較して有意な変化傾向は予測されていない(確信度が中程度)。地域別の降水量の変化については、予測結果のばらつきが大きく、十分な研究事例も積み重ねられていないことから、不確実性が高い。
・21世紀末には、20世紀末と比較して大雨及び短時間強雨の発生頻度が全国平均では有意に増加すると予測される(確信度が高い)。地域別に見ても増加傾向は共通して予測されているものの、増加量については不確実性が高い。
・4℃上昇シナリオ(RCP8.5)では、21世紀末には20世紀末と比較して、降水の観測される日数が全国的に有意に減少すると予測される(確信度が高い)。2℃上昇シナリオ(RCP2.6)では、降水の観測される日数には有意な変化傾向は認められない(確信度が低い)。
・初夏(6月)の梅雨降水帯は強まり、現在よりも南に位置すると予測される(確信度が中程度)。

 降水の観測事実については、年降水量には、統計的に有意な長期変化傾向は見られないが、発生頻度について、降水の日は減少し、大雨や短時間強雨の日は増加するとしている。

ゲリラ豪雨イメージゲリラ豪雨の発生頻度が年々高まっている(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 つまり、降る雨や雪の量はあまり変わらないが、降るときは一気に降り、降らないときは一切降らないというように、降る日と降らない日の違いが顕著になっていくという観測結果だ。この傾向は、一般の人々の感覚に合致するものだろう。

 将来予測を見ると、今世紀末には大雨や短時間強雨の発生頻度が有意に増加することが高い確信度で述べられている。4℃上昇シナリオ(RCP8.5)の場合、今世紀末の日降水量100mm以上の大雨の日数は、20 世紀末の約1.4倍、日降水量200mm以上の大雨では、約2.3倍に増加するとの気象庁の予測もある。

 その要因として、気温上昇により大気中の水蒸気量が増加することが挙げられる。ただし、降水量は大気の流れの変化などの影響も受けるため、単純に各地域、各季節に一律に増えるわけではないようだ。

 特に6月ごろの降水は強まり、南の地域に降水帯がシフトするとの予測は注目すべきだろう。実際に、昨年も今年も6月下旬~7月上旬にかけて、九州などの西日本で梅雨前線による大雨が発生している。

 いずれにせよ、今後も全国的に豪雨の日がますます増えていくことは覚悟する必要がありそうだ。