おわりに

 現在、世界では、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザ侵攻、中国の南シナ海での海洋進出など国際法違反の行動がまかり通っている。

 一方、ウクライナやガザでは、民間人の殺戮が行われている。誰も殺戮を止められない。

 ICCは、殺戮者を逮捕できれば訴追・処罰することはできるが、殺戮は止められない。

 本来、武力紛争において現に行われている殺戮に迅速に対応すべきは、ICCではなく、安保理である。

 今、国際の平和および安全を維持するために創設された国連の存在意義が問われている。

 筆者は、このまま国連が国際の平和及び安全を維持する機能を果たすことができず、そして「平和のための結集決議」に基づく緊急特別総会による改革が実現できないならば、直ちに国連を解体し、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する民主主義国家で新たな国際機関を創設することを検討すべきであると考える。