なぜ1位でなければいけないのか、その理由を蓮舫氏は身に沁みているのではないか(7月7日、写真:つのだよしお/アフロ)

 7月7日に投開票を終えた都知事選は、投票率が60.62%と6割を超え、前回の55%を大きく上回りました。

 都民の関心の高い選挙であったと言えるでしょう。

 得票数は現職の小池百合子候補が291万8015票、次点は前広島県安芸高田市長の石丸伸二候補が165万8363票。

 前参院議員の蓮舫候補は128万3262票でした。4位以下は総得票数が10%に達せず、供託金没収となっているので結果は略します。

 まず第一に指摘せねばならないのは、現職の立憲民主党参院議員だった蓮舫候補の惨敗ぶりです。

 SNS選挙を売りに、いきなり出てきた石丸候補の得票数の8割に到達しなかった。今回選挙の最大の教訓の一つは、既存野党の力では浮動票の受け皿になっていないという点でしょう。

 投票前から指摘していたとおり、2位と3位を合わせれば294万票を超え、現職の小池候補を抑えることは可能でした。

 それが、4位以下の供託金を没収された候補者53人も含め、ターゲットが散り、現職をさらに利してしまった。

 野党は候補を選定した時点で、戦略的に負けていた可能性があると思います。「落選運動」の紹介でも記した通り、今回都知事選で私は投票したいと思う候補がいませんでした。

 郷原信郎弁護士も「戦略的な投票で、小池候補を落とせそうな人に一票を」と発信していましたが、要するにそれが割れ一本化できなかった。

 いずれにしても、約600万票の得票に対して、現職ながら「小池候補」は前回のように過半数を制することはできませんでした。

 いま報道されているような、広告代理店やデベロッパーとの癒着などは、残念ながら次回都議選までは惰性が続くでしょう。

 また、小池氏は3選したものの、3件の刑事告発のうち学歴詐称以外の2つは立件される可能性が高いと考えられ、刑事被告人として失職リスクとの闘いに、かなりエネルギーを使う可能性が考えられます。

 立件される可能性が高い2案件とは、ともに悪質性が高く、影響力が大きく、かつ証拠や証言が明確に残っていて、起訴→有罪に持ち込める可能性がある2件で、

1 区長市長に働きかけて立候補に向けての推薦を求めた「公務員権限の濫用」と

2 都知事の公式記者会見で不特定多数都民に選挙運動を行った「公務員権限の濫用

 ともに、元検事として公選法違反案件も扱ってきた若狭勝、郷原信郎両氏の、立場を異にする両弁護士が根拠をもって示しているもので、今後の検察の動きに注意する必要があるでしょう。

 都政を大きく変える次のチャンスは都議選。

「落選運動」に奔走された郷原弁護士は当選後1年を経たリコールなど、対策を早くも多数、打ち立て発表しており、期待したいと思います。