2位では絶対にダメなんです

 しかし、ここでさらに醜態をさらしたのが当時の学術官僚諸氏であり研究者諸兄の無能ぶりでした。

 ポピュリスト政治家でも言わないような「世界一になることで国民に夢」の何のというたわ言しか返せず、計画は凍結されてしまいました。

 これに先立つ2004~05年、すでに「第三期科学技術基本計画」を執筆していた東京大学10年目、40代助教授だった私ですら、もし自分が答弁に受け答えしていたら、100倍程度はまともなディフェンスで予算を守っただろうに、と思ったものです。

 2位じゃだめ、は「計算速度を誰かに抜かれたら、その時点で成立しなくなる」ことがいくらでもあるわけです。例えば。暗号の解読などを考えたらよろしい。

 国民が日常生活で安心してお金をやり取りするためのキャッシュカードやクレジット、現在で言えばスマホ決済などのセキュリティで考えたら分かりやすい。

「2位」ということはつまり「誰かに解読される。お金が盗み放題となり、金融のシステムとして機能しなくなる。

 だから、「2位じゃだめ」というばかりではなく、最速者がデファクトを制する・・・などとして、サイエンスに何の背景もない陣笠を黙らせる作文を工夫する必要がありました。

 私は30代後半、こういったことには相当に鍛えられた経験がありましたので、当時の官僚や研究者諸君の無能な対応ぶりにただただ呆れ、天を仰ぐしかなかった。

 実際、大学や研究所にはガバナンスがありません。

 組織内で多数派工作をして、ローカルなメリット中心で選ばれてきた人間が上に上がるシステムだったので、いざトップに立っても大学としてのビジョン、国際的な高等学術政策としての戦略などを、法に根拠をもって展開できる胆力のある人がいなかった。

 小宮山宏、黒川清といった胆力ある上の世代が導いて、そうした資質のある五神眞さんが東大総長に着任するのは2015年で、よほど後になってからのことでした。

 ともかく「事業仕分け」での「社会党的労組根性」では、少なくともイノベーションと基礎科学については日本を潰すことがはっきり分かったので、あれ以降、関連の政治家への私の評価は地に落ちたことも、付記しておきます。

 さて、では日本の野党は何をしなければならなかったのか?

 そのお手本のようなケースが、同じ7月7日、時差がありますから7時間ほど遅れて、欧州大陸、フランスで実現していました。