2024東京都知事選は掲示板も異常事態に(6月27日撮影、写真:アフロ)

 困ってしまいました。投票したい候補がいないのです。

 東京都知事選の話です。私も東京都民なので「清き一票」を持っているのですが・・・。

 これはまた、何をどう間違えれば、ここまで破れ鍋にとじ蓋というか、およそ投票したいと思う人が一人もいないラインナップが作れるのかと感じているのです。

 世も末というべき掲示板枠の「売却」と「ジャック」、ほとんど無茶苦茶というべき乱立候補群による政見放送の末期症状化・・・。

 正直、票を投じたいという人がおりません。

 ところが、そのことによるメリットも一つあるのです。「落選運動」の権利という自由を、私自身、獲得することができました。これについてお話したいと思います。

 今回は「21世紀型選挙」の新しい可能性「落選運動」について、法的な裏付けを含め検討してみましょう。

郷原信郎弁護士の鮮やかな「小池落選運動」

 迷走する都知事選の中で、一服の清涼というべき鮮やかな展開を見せているのが、元・東京高検検事の郷原信郎弁護士による「小池百合子候補落選運動」です。

 6月19日、新宿駅前での旗揚げ演説動画に続いて、6月24日の夕方は都庁前で、家路を急ぐ都庁職員にも声が届くように小池候補の3選阻止を訴えた街頭演説

 いずれも、小池候補の「カイロ大学への文書依頼」を暴露した小島敏郎さんの論旨同様、現役最前線の弁護士が法理に則り、明快な論理で展開される、胸のすくような「反選運動」のロジックです。

 郷原弁護士の「落選運動」が、かつて最も鮮やかにヒットしたのは2021年10月の衆議院議員選挙、神奈川13区で、現役の自民党幹事長であった甘利明氏が選挙区敗退したケースでした。

 政治とカネの問題に、まともなシロクロをつけぬまま、ここで「当選→民意の承認を得た→ミソギ、うやむやOK」のお墨付きを出すことは日本の憲政全体を考えても、絶対に阻止しなくてはならない事態との決意をもって、郷原さんは全力で取り組まれた。

 その結果、比例復活により辛うじて議席は確保したものの、史上初めて現職の自民党幹事長が落選というケースとなり、甘利氏は幹事長を辞任しました。