禁煙率が高い国の世界ランキング1位は?
WHOが2024年に公表した最新の報告書(WHO global report on trends in prevalence of tobacco use 2000–2030)によると、タバコによって世界では毎年800万人以上が死亡し、そのうち副流煙にさらされて死に立った非喫煙者も130万人に達すると推計されています。タバコの使用者は世界で13億人を数え、その8割が低・中所得国の人々でした。
ただ、世界的に見ると、喫煙者の割合(喫煙率、15歳以上)は低減が続いています。2000年に32.7%だった喫煙率は、2020年に21.7%に。その後、2030年には18.1%になる見込みです。性別の推移を見ると、男性(49.1%→35.5%→30.6%)、女性(16.3%→7.9%→5.7%)となっており、低下は明らかです。
WHO加盟国の国別喫煙率(15歳以上)を見てみましょう。どの国も女性より男性の喫煙率が高いため、男性による比較を行い、上位40カ国のランキングを一覧表にしました。
最も喫煙率が高いのはインドネシアで71.2%。それに次ぐヨルダンは57.8%ですから、13ポイントほども開きがあります。インドネシアの総人口は2億7000万人超。人口規模では世界第4位の大国です。その国で男性の7割が喫煙者ですから、かなりの“喫煙大国”と言えます。
そのほか上位には、パプアニューギニアやツバルなど太平洋上の島国、キルギスやアゼルバイジャン、カザフスタンなど中央アジアの国々、エジプトやトルコといった中東の国々が並んでいます。一方、アフリカのガーナ(4.0%)やナイジェリア(7.1%)、カメルーン(8.4%)などは低さが目立ちました。
なお、日本の男性は26.5%、女性は7.7%。双方を合わせると、16.8%になります。たばこは健康に悪影響を及ぼすことが常識になったことに加え、ライフスタイルの変化もあって、喫煙を嫌う人は急増。2018年には受動喫煙防止法も成立し、段階を経て、病院や学校では敷地内が全面禁煙に、飲食店や職場では原則として屋内禁煙が義務付けられました。全体で16.8%という低い数値は、そうした結果です。
ただ、厚生省(現・厚生労働省)の調査によると、日本もピークだった1966年の喫煙率は83.7%に達していました。半世紀ほど前まで、日本も相当な“喫煙大国”だったわけです。