教員不足で授業ができない事態も=写真はイメージ(写真:maroke/Shutterstock)

深刻な教員不足が続いています。文部科学省による2021年5月時点の全国調査では、小中合わせて1350校で教員の定員割れが起きていました。各地の自治体はあの手この手の採用活動を続けていますが、「ブラック職場」との見方が広がってきたためか、抜本解決への道筋は見えていません。教員不足の背景にはどんな事情があるのでしょうか。やさしく解説します。

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「定額働かせ放題」NHK報道で騒ぎ

 この5月中旬、教員の待遇改善をめぐるニュース報道で、ちょっとした騒ぎが起きました。

 公立学校の教員には残業代を支払わない代わりに月給の4%を一律支給することになっていますが、教員の待遇改善問題をNHKが報じた際、この仕組みについて「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない教員の給与の枠組みはこのように呼ばれています」と放送したのです(5月13日)。

 これに文部科学省が激怒。「(放送は)現行の仕組みや経緯、背景、中央教育審議会における議論の内容に触れることのない一面的なもので、大変遺憾」とする局長名の文書を公表する事態となりました。

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 報道への圧力ではないかとの指摘も湧き上がりましたが、それ以上に教員の給与体系や待遇問題に注目が集まりました。焦点は“定額働かせ放題”です。

 公立学校教員の残業代が支払われないことは、教職員給与特別措置法(給特法)という法律で定められています。代わりに支給されるのが、月給4%分の「教職調整額」です。