あの手この手で採用に工夫
目の前の教員不足を一刻も早く解消しようと、各地の教育委員会はあの手この手で採用活動を続けています。
埼玉県では、大学2年生と短大1年生向けの職業体験「彩の国かがやき教師塾」をスタートさせています。学習指導や学級担任の補助業務を通じて、教員の仕事を理解してもらう試みで、60〜80時間のボランティア。2024年度は対象の大学を増やすなどして、計300人を募集します。
滋賀県では2024年度から教員採用試験を大学3年時に受験可能としました。民間企業の就活に先を越されないための措置で、大阪市や京都府などでも同様の制度を導入します。
さらに、熊本市では大学推薦があれば、1次選考を免除する制度を2025年度からスタートさせます。その他の自治体も中途採用を強化したり、教職に就いていない免許保持者への働きかけを強めたり、対策を強化しています。
こうした策は果たして効果を生むのでしょうか。
教員不足を根本から解消するには、十分な数の教員を確保し、「ブラック職場」と呼ばせない職場環境をつくることが欠かせません。そのためにも潤沢な予算を教育に配分することが必要だと多くの教育関係者は訴えています。「一人ひとりの子どもと向き合う時間がない」というほど忙しい、本末転倒の教育現場。誰もがその改善を望んでいるはずです。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。