若返りは人類の夢(写真:Evgeny Atamanenko/Shutterstock.com
  • 「いつまでも若く美しく、元気でありたい」…いつの世でも人類はそう願ってきた。その夢が、ここにきて現実のものになりつつある。
  • 老化はどこまでコントロール可能なのか。老化研究の第一人者、慶應義塾大学の早野元詞氏が3回に分けて解説する。
  • 第1回は、老化が気になり始めたらまず、何をするべきか。普段からできる生活習慣改善の基本をおさらいする。(JBpress)

(早野 元詞:慶應義塾大学医学部特任講師)

※この記事は、『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』(朝日新書)から一部抜粋・編集したものです。

老化はコントロールできる

 老化は、誰にも避けられません。

 老化が時間に伴う動的変化だとすれば、それを避けるのは不可能だからです。

 そんな老化現象の一例として、最もわかりやすいのが、「老け顔」です。人間に限らずマウスなどでも、歳を取るとシワやシミができたり白髪になったりします。これらはすべて、動的変化に基づく後天的なプロセスです。

「後天的? 白髪や禿頭は遺伝じゃないの?」

 そう思われる方もいるかもしれません。しかしながら、老化は「後天的」な変化が8割以上を占めるのです。つまり「先天的」な遺伝のせいではなく、食事や運動などによって大きく影響される。言い換えれば、生活習慣などに気をつければ、老化はある程度コントロールできるのです。

早野 元詞(はやの・もとし) 慶應義塾大学医学部特任講師
熊本県生まれ。2005年熊本大学理学部卒業、2011年に東京大学大学院新領域創成科学研究科にて博士号(生命科学)を取得。2010年より東京都医学総合研究所所員、日本学術振興会海外特別研究員、Human Frontier Science Program (HFSP) Long-term Fellow、ハーバード大学医学部客員研究員などを経て、2017年から現職。(株)坪田ラボでChief Science Officerを務める。2023年より(株)Flox Bio共同創業者、One Genomics.Inc co-founder。一般社団法人ASG-Keio代表理事、特定非営利活動法人ケイロン・イニシアチブ理事、一般社団法人海外日本人研究者ネットワーク理事、UJA.Inc(NPO in USA)board memberを務め、若手研究者の支援にも力を入れている。
早野研究室HP: https://www.hayano-aging-lab.com/
X(旧Twitter): @HayanoMotoshi

 先日、こんなことがありました。

 あるテレビ番組で、ロックユニット「B’z」の稲葉浩志さんが、4歳上のお兄さんと並んでいる写真を見たのです。思わず、「あっ!」と声を上げてしまいました。二人の年齢差が、とても4歳とは思えなかったからです。