(写真:haru/Shutterstock)

 8月中旬頃、スーパーの店頭から米が消え始めた。9月に入り、新米が入荷する時期になっても、米の品薄状態は続いている。2024年の稲の生育状況に大きな問題はなく、間もなく本格的に新米が流通する見通しだが、値上がりは避けられないようだ。9月5日、JA全中の山野徹会長は定例会見で、新米の値上がり見込みについて、コメの生産に必要な肥料や燃料などの高騰が続いていることで生産コスト高になっている現状に理解を求めた。

 消費者にとっては物価上昇が続く中で、主食の品薄、値上がりは大きな打撃である。そんな状況で「もち麦」が再び注目されている。

 糖質制限ダイエット・ブームに火が付いたのは2010年代。今でも糖質は太る、不健康になる食品というイメージは根強く、健康診断でBMI値が高いと指摘されたり、体重が増えたりすると甘いものや炭水化物を控えようと思う人は多いだろう。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*1では、

「炭水化物の多い食事は、その質への配慮を欠くと、精製度の高い穀類や甘味料や甘味飲料、酒類に過度に頼る食事になりかねない。これは好ましいことではない」

 とされている。

 普段の食事に登場する頻度が高い「精製度の高い穀類」のひとつは、白米だ。元来、日本人の主食として君臨してきた炭水化物だが、避けるべき食品として扱われるようになっている。されど長らくわれわれの食生活に根付いてきた白米。丼物やカレーライス、お寿司におにぎりと食べたいメニューも多いし、全部避けるのはつらい。そこで救世主のように現れたのが、「もち麦」だった。

*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

確かな健康効果でヒットした「もち麦ご飯」

 もち麦は、創業以来82年にわたって穀物を扱ってきた「株式会社はくばく」が2012年に発売したのが始まりだ。16年にテレビメディアで「内臓脂肪を低減」「血糖値の上昇抑制」などのエビデンスが紹介され、健康にもダイエットにもよいと大ヒットした。

 モチモチ・プチプチした食感のもち麦が健康によいとされるひとつの理由は、食物繊維を豊富に含んでいることだ。食物繊維には、腸内細菌のエサになり腸内環境を整える水溶性、便のカサを増して腸のぜん動運動を活発にする不溶性の2種類があり、もち麦はこれら2種類の食物繊維をバランスよく含んでいる。

ごぼうや玄米と比較した「もち麦」の食物繊維含有量(資料提供:株式会社はくばく)
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「食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することが勧められます」(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」より*2

 現代の日本人は食物繊維摂取量が不足しがちで、1日に摂取したい食物繊維量は男性21g以上、女性18g以上*3。それに対して平均摂取量は男性15.3g、女性14.7gで*4、男性で5.7g、女性で3.3gと、3〜6gほどの食物繊維が不足している。はくばくのもち麦は100gに食物繊維11.8gを含み、同社の分析では白米の6.6倍にあたるそうだ。

 不足分の3〜6g食物繊維を補うには、レタスで約1.8玉、さつまいも1本弱、ごぼう約0.7本にあたる。これらを毎日選んだり、調理したりするのはなかなか大変だが、もち麦ご飯なら白米に混ぜて炊くだけ、1日2杯程度を食べると同量の食物繊維を摂取できるという。

*2 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」
*3 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(厚生労働省)
*4 「平成30年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)