来週はお盆休み明け。再び会社で仕事という人が多いことだろう。朝いつものように出社して、午前中に一仕事。そして昼休み、社食や近くの食堂で昼食をとる。職場に帰ってきて、いざ午後の仕事。
ところが、だ。午後2時になろうとする頃、それは襲ってくる。「睡魔」だ。
昼までは感じなかったような眠気が急に来て、予定していた仕事が手につかなくなる。そのような経験をしたことがないだろうか。
「職場で眠るわけにはいかない。けれども眠い。どうしても眠たい」
仕事の結果に支障をきたさなければ、居眠りしてしまってもいいという考え方もあるだろう。だが、ウトウトしているのを上司や他の社員に見せるのは、やはり心象を悪くするものだ。
どうして、昼食を食べた後の時間、激しい眠気に襲われるのだろうか。この昼食後の眠気、どうにかならないものだろうか。
こうした悩みを深刻に抱えている人もいるのではないだろうか。そんな思いを胸に、今回は摂食と睡眠の関係に詳しい金沢大学医薬保健研究域医学系教授の櫻井武氏にこれらの疑問を投げかけてみた。
櫻井氏は、覚醒や摂食の制御に関わる「オレキシン」という体内物質を発見した人物だ。摂食と睡眠。実は深い両者の関係性を解明しつづけてきた。
前篇では、「どうして昼食後、眠気に襲われるのか」、この疑問に焦点を絞って、櫻井氏にその要因を尋ねてみる。そして後篇では、実践的に「昼食後の眠気にどう対処すればよいか」を聞き、アドバイスを請うことにしたい。
「とりわけ昼食後に眠気」にも理由あり
――「昼食後、眠気に襲われる」という経験は多くの人がしていると思います。なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?