
今年は桜もまだ開花しないうちに真夏日を記録するという異常事態だ。心身ともに暑さへの備えができていない状態では、誰もが熱中症になる危険性がある。そこで、新百合ヶ丘総合病院 救急センターの伊藤敏孝センター⾧に注意すべき初期症状や、すぐにできる対応について聞いた。
体に力が入らない感覚、ふわふわするめまいに注意
――毎年、夏が近くなると熱中症への注意喚起や対策が周知されますが、今年はなんと3月のうちに真夏日が記録され、4月も夏と冬が目まぐるしく入れ替わるようでした。
伊藤敏孝氏(以下、伊藤) 暑いことがわかっている7、8月よりも、急激に温度が上がる5月、湿気の多い6月の方が熱中症で搬送される人が多く、脱水症状による脳卒中や心血管疾患も増える時期です。まだ暑さに体が慣れていない状態ですし、気温に服装が合っていないことも多いです。
最近は首に巻く冷却グッズや、携帯できる扇風機など便利な道具が増えましたが、その準備ができていなかった方もおられたでしょう。つい、前日と同じように通勤・通学をしたり、散歩に出かけたりするだけでも熱中症になる危険は高まります。睡眠不足や風邪など、体調不良のある人は特に注意していただきたいと思います。
――「暑い」という自覚ができない中で、気をつけたい初期症状はどんなものがありますか。
伊藤 なんとなく体に力が入らない、めまいがするといった症状ですね。高齢の方はそれだけで動けなくなってしまうこともあります。体温の上昇だけでなく、水分が足りなくなることも原因になるので、暑いと感じていなくても脱水症状から熱中症になることもあります。めまいはグルグルと目が回るようなものではなく、ふわふわする感じです。ふわふわして、ふらつくような感じがしたら、熱中症を疑ってください。