(写真:9nong/Shutterstock)

虫歯・歯周病にならないためには、歯の表面に着いたプラークの除去だけでは不十分だ。問題の1つが「歯ぎしり」。虫歯菌の“隠れ家”をつくってしまう。歯ぎしりが招く危険信号とは。虫歯・歯周病にならないための「おとなの歯磨き」を3回にわたって伝授する。(JBpress)

(*)本稿は『おとなの歯磨き』(伊東材祐著、フローラル出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

■おとなの歯磨き
(1)歯磨きとは「除菌」だ!「うんち」より菌密度が高いプラークを除去し、虫歯・歯周病に勝つ「おとなの歯磨き」とは
(2)ギリギリギリ…「歯ぎしり」が虫歯を招く!病原菌の本当の隠れ家は真夜中に作られる
(3)おとなは歯磨きを何分間すべきか?3分間では圧倒的に足りない!「7つ道具」を使いこなしプラークを落とせ

>>【マンガで読む】歯ぎしりの危険信号

 ギリギリ、ギリギリ。深夜、寝室から響く音。

 もうおわかりですね。そう「歯ぎしり」です。

 これまでに虫歯になる仕組みを紹介しましたが、では、歯の表面に着いたプラークさえ落とせばいいのか。というと、話はそう簡単にはいきません。

 虫歯菌というのは、目に見えないほど小さな菌なので、歯の小さな隙間(すきま)にだって入り込んでしまいます。

 そして、多くの人が知らない間にプラークの居場所を作り出しているのが、歯ぎしりなのです。

 歯ぎしりを続けていると、歯には様々な症状が現れます。

 その代表的な症状と言えるのが「くさび状欠損(くさびじょうけっそん)」。

伊東 材祐(いとう・さいゆう)訪問歯科医師
1975年生まれ。歯学部卒業後、大学病院付属の特殊機関で歯周病、かみ合わせ、最先端の義歯治療、歯内療法、オーラルリハビリテーションなどの先進医療を一流の歯科医師陣に学び、在宅医療を専門とする歯科医院を開設。累計7万回以上の訪問診療に従事し、専門的口腔ケアの向上を推進している。診療外で1700名以上のお口の相談にのり、累計受講者8000名以上の口腔ケアセミナーの講師を務める。エビデンスのある医学的理論と数多の高齢者の何十年もの実体験、真実に基づいた「絶対に虫歯にも歯周病にもならない方法」を提唱。口の健康は、精神状態と如実に連動していることから、「心の状態をよくすること」と「自分を大切にすること」を重視。日本人にあう食事や衣類、生活環境の整備、多様な考え方の受容が病気の予防や治癒や幸せな人生の一助となるよう、ご利用者さん(患者さん)に寄り添っている。医療法人理事長。合同会社ジェネラス代表。

 歯ぎしりをしているとき、歯には体重の2倍ほどの力をかけながら、ギリギリと歯を左右に動かします。このとき、もっとも圧力がかかるのが、歯の根元。本来、歯は横には動きません。そのため、横方向への圧力をかけ続けてしまうと、いずれは耐えられなくなり、歯を覆うエナメル質がパキッと欠けてしまうのです。

 こうしてできるのが、歯の根元が欠けたくさび状欠損。この欠けた凹みはプラークにとって絶好の隠れ家となります。

 また、エナメル質が欠けることで、神経への刺激を強く感じることになるため、冷たいものを飲んだら歯がしみる、いわゆる知覚過敏(ちかくかびん)などを起こしやすくもなります。

 また、くさび状欠損以外にも、歯ぎしりによって、生み出される隠れ家はいくつかあります。

 次のページで紹介している症状が少しでも出たときは、歯科医院に相談に行く事をおすすめいたします。

(次ページでマンガをお楽しみにください)