被害者はニュースを見ていないのか

 これら一連の報道をみて、筆者が残念に思うことがある。若者に「詐欺に気を付けよ」「闇バイトに加入すると人生を棒に振るぞ」と、警告する立場の大人が、ロマンス詐欺、SNS投資詐欺の被害者になっていることだ。

 ロマンス詐欺被害に遭っているのは中年層である。警察庁の資料によると、「被害者の年齢層は、男性が50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多い。SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の名目となっている」という(警察庁 捜査第二課、組織犯罪対策第二課「広報資料」)。

 投資の世界に「確実に儲かる」はない。「確度の高い儲け話をあなただけにこっそり教えます」ということもない。投資は、自分で情報を集め、自分で判断して行うものだ。

 その意味で、SNS投資詐欺被害に遭っている人は、投資のための情報収集をしているのかはなはだ疑問だ。少なくとも株式投資をしようとするならば、ニュースや新聞でリアルタイムに社会情勢(為替や政策金利、失業率などの海外の経済情報)を把握しておく必要があるだろう。ニュースも見ずに、ネットの「テンバガー予測」などを信じて、宝くじ感覚で株を買っているのだろうか。

 あるいは、詐欺集団が勝手に名前や写真を拝借しているジャーナリストや経済評論家のネームバリューで、すっかり相手を信用してしまっているのだろうか。まともなジャーナリストや経済評論家が、自ら金融商品や投資を勧めたりするはずがないのだが、そのような判断が下せるくらいの情報リテラシーがないのなら、ネット情報に基づいた経済行為は控えたほうがよい。

 ロマンス詐欺やSNS詐欺の実行犯は、被害者の不安や心の隙にすっと付け入るのが巧みなのだ。詐欺の犯人は、「どうすれば騙せるか」頭をひねって考える。誰かが成功した例を見つければ、それをそっくり真似をする。手口はどんどん精巧に、緻密になってくる。

 それは以下の半グレの証言でもよくわかる。