首相の「資産所得倍増元年」宣言から加速したSNS投資詐欺被害

 SNS投資詐欺被害は、昨年6月に首相官邸が「『人生100年時代』。個々人の生き方、働き方も多様になり、それぞれのライフプランにあわせた資産形成が重要になっています……皆様が、ご自身のライフプランにあわせた資産形成を進められるよう、政府一丸となって取り組んでいきます」という岸田首相のメッセージを出してから激増している(首相官邸「資産所得倍増元年―貯蓄から投資へ」2023年6月30日付)。

 この宣言があった2023年6月以降、投資詐欺認知件数は急増し、同年12月には約3倍となった(筆者注:2023年6月時点120件(19.9億円)、12月時点369件(53億円)(下記【図1】参照)。

【図1】SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年・月別)。昨年6月の岸田首相の「資産所得倍増元年」宣言以降、投資詐欺の認知件数が急増したことが分かる
拡大画像表示

 ちなみに、ロマンス詐欺被害の72.4%についても、「2人の将来のため」などとかたった“投資名目”だった。1月に「新NISA」が始まり、政府が「資産運用立国」を目指すなど、投資への社会的関心の高まりに犯罪グループが乗じている可能性がある(共同通信 2024年3月7日)。