SMBC日興証券の宮前氏は秋の総裁公選まで岸田政権は継続すると見る(写真:共同通信社)SMBC日興証券の宮前氏は秋の総裁公選まで岸田政権は継続すると見る(写真:共同通信社)

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

「岸田おろし」を仕掛ける派閥そのものが消えた

 今年秋に自民党総裁選が実施される。総裁選に前後して衆院解散となる可能性が高い。首相交代や連立政権組み替えに至る可能性があろう。いずれにせよ、自民党を軸とした政権が継続しようが、新首相や連立相手次第で経済政策が変わる。

【政治シナリオ】
<支持率は低いが、政局は生じていない>

 昨年末に浮上した政治資金問題を背景に、内閣支持率と自民党の政党支持率はともに低迷している。特に、内閣支持率が自民党支持率を下回ったままである点が目を引く。自民党支持層の一部が政権を見放している状態であることを示唆する。

 過去の例を見れば、与党内で「〇〇おろし」と呼ばれるような政局、倒閣運動が生じやすい局面のはずだが、これまでのところ、政局や倒閣運動が本格化するには至らず、岸田政権は継続している。

 派閥の在り方が問題となり政局を仕掛けづらくなったこと、それを仕掛けるような派閥自体がなくなったためと考えられる。

 4月28日に控える衆院補欠選挙の結果次第では、「岸田おろし」が本格化するとの見方もあるが、派閥のほとんどが解散した状況下では、実際に倒閣に至る可能性は低いように思われる。

橋本政権以降の内閣支持率

 よって、メインシナリオとしては秋の総裁公選までの岸田政権継続、そして新・総理総裁による衆院解散を予想する。