連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識

平安時代の結婚は夫が妻方の実家に通う妻問婚、もしくは実家に居る婿入り婚が一般的だった

 私たちの婚姻形態の推移は、乱婚、共同婚に始まり一妻多夫、一夫多妻といった変遷を経て、一夫一婦となった。

 だが、我が国において、精神的、肉体的な浮気とはまるで縁がなく、生涯、脇目も振らず妻一筋、あるいは夫一筋という女性と男性は、おそらく既婚者全体の半数を切るのではないか。

 実際、結婚後、男性の5人に2人が、女性の6人に1人が婚外性交渉、いわゆる不倫経験があるという調査報告がある。

 また、離婚率が約35%という数字を鑑みれば、一夫一婦制は既に形式的な制度になってしまったと言えるかもしれない。

 そもそも原始時代、人類は男も女も自由気儘な暮らしをしていて、縛られることのない本能的で単純な性行為に勤しんだ。

 乱婚の時代、見惚れた相手を見つけて発情すれば交接に至る。女は出産すると、自らの力で子供を育てる。

 その間、他の男に熱を上げたとしても、いまでいう貞操といった概念は存在せず、欲望の赴くまま女も男と情交に励んだのである。

 人が集団生活を営むようになると、婚姻形式の一つである共同婚も、一種の乱婚にあたる。

 共同婚とは一対一の男女の夫婦という形態ではなく、村の中で子供が生まれれば父親が誰であれ、その子を共同で面倒みるという概念である。

 我が国でも昭和の時代の初めまで、一部の地方の農村や漁村などで行なわれてきた習俗である。

 歴史における婚姻にまつわる形態は、集団生活において初夜権など、様々な形式の風習があった。

 複数の男性が互いに対等の資格で、複数の女性と婚姻する群婚、食事の仕度から夜伽までする貸妻、嫡妻と側室といった妻妾、夫婦生活が妻訪いの形で営まれた招婚などがある。