連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識

同性愛は置かれた環境で芽生えることが少なくない。男子禁制の大奥、大名家の奥向きなど女性が集まる場では、密かに女性同士の性愛行為が行なわれた

 性欲とは性的行為を求める人間の本能であり、交接とは自分の遺伝子を次の時代に繋ぐための行為である。

 性欲と種の保存の欲求は、時代とともに変容するものではない。

 江戸時代、男子の精液は「腎水」と言い、精力旺盛な男子は腎臓に精液が漲っていると解釈された。

「腎張(じんばり)」とは好色で濡れ事に目がないという意である。

『風流御長枕(宝永7年:1710)』は、御殿勤めの奧女中の性根について記している。

「物堅きお家の奥奉公の女、ふんどしをみてさへ上気する」

(男子禁制の奧での生活する御殿女中は、すえた匂いが漂う褌を目にしただけで、女芯は悦びに疼いてしまう)

「たまたま御暇(おいとま)に、生きた男に会い、思ひで申す事、何に代へられんや。男の話、少しも耳に入らず、一義に心急きて玉茎握り、指を輪にして太みを見たり、男の手を懐へ入れたりするは、玉門を弄ふて見よといふ事也」

(それが生身の男子との情交となれば、久方ぶりにお目見えした、硬直するピストン器官を、ほっそりとした白色の5本の指でやんわりと握り、指を輪にして太さと固さをワクワクしながら計る嬉しさ)

(乳房の谷間に男の手を導くのは、キノコの笠のように漲る相手の肉棒で、己の密壺を掻き回してもらうための誘いである)

「やうやうに交掛るに、布団もびったりと濡らし、はや姿を恥ぢず、丸裸になって、果ても無ふ腰を遣ふ」

(女の秘肉は溶鉱炉のように燃えながら膨張した肉槍を喰いしめる。粘っこい液体のような粘膜が溢れて布団を濡らす)

(恍惚の中で女は羞恥心などとうに忘れ、ねっとりとした暗紅色の火口をそのはざまに息づかせた)

『風流御長枕』の性愛の描写は、三百年前も今も女性の性欲が変わらないことを明示しているかのようである。