性欲とは性的行為を求める人間の本能であり、交接とは自分の遺伝子を次の時代に繋ぐための行為である。 性欲と種の保存の欲求は、時代とともに変容するものではない。 江戸時代、男子の精液は「腎水」と言い、精力旺盛な男子は腎臓に精液が漲っていると解釈された。「腎張(じんばり)」とは好色で濡れ事に目がないという意である。『風流御長枕(宝永7年:1710)』は、御殿勤めの奧女中の性根について記している。「物堅きお家の奥奉公の女、ふんどしをみてさへ上気する」(男子禁制の奧での生活する御殿女中は、すえた匂いが漂う褌を目にしただけで、女芯は悦びに疼いてしまう)「たまたま御暇(おいとま)に、生きた男に会い、思ひで申