(舛添 要一:国際政治学者)
ガザではイスラエル軍の攻撃が続き、人道状況は悪化の一途を辿っている。イスラエルはハマス壊滅まで戦うという姿勢を崩しておらず、停戦の見通しは立っていない。
孤立するイスラエルとアメリカ
12月8日の国連安保理では、グテーレス事務総長の要請によって提案された人道目的の即時停戦案は、アメリカの拒否権によって否決された。
そこで、12月12日、国連総会は緊急特別会合を開き、人道目的の即時停戦を求める決議案の採決が行われた。193の加盟国中、日本、フランス、カナダなど153カ国が賛成し、イギリス、ドイツ、イタリアなど23カ国が棄権し、アメリカ、イスラエルなど10カ国が反対した。圧倒的な賛成多数であり、イスラエルとアメリカの国際的孤立が印象づけられた。
10月27日の国連総会では、121カ国の賛成で人道目的の休戦を求める決議が採択されたが、棄権が44カ国であった。この44カ国中、今回は日本やカナダを含む26カ国が賛成に回っている。賛成国が増えたのは、ガザにおける人道危機がさらに深刻化しつつあるからである。
バイデン大統領は、ワシントンで12日に支持者を前に演説し、「無差別的な爆撃によってイスラエルは世界で支持を失いつつある」と述べた。ネタニヤフ政権については、イスラエル史上最も保守的な政権で、パレスチナとの2国家共存を認めていないと批判した。この苦言には、アメリカ内外でのイスラエル批判の声が背景にある。