成果文書が満場一致で採択され、スタンディングオベーションに加わるケリー氏(左)と謝氏(右、筆者撮影)成果文書が満場一致で採択され、スタンディングオベーションに加わる気候変動問題担当のジョン・ケリー米大統領特使(左)と中国の解振華気候変動特使(右、筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「化石燃料からの脱却」を宣言したCOP28合意

[ドバイ発]アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は予定を1日延長して13日、気候変動対策の進捗を確認する第1回グローバルストックの成果文書を満場一致で採択した。化石燃料の段階的廃止または削減を巡り産油国サウジアラビアの強硬な反対にあいながら「化石燃料からの脱却」を盛り込んだ。

>>米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使と中国の解振華気候変動特使の厚い信頼関係が垣間見える写真の数々

 世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ摂氏1.5度に抑えるには温室効果ガス排出量を2019年比で30年までに43%、35年までに60%削減し、50年にネットゼロ(実質排出ゼロ)を実現しなければならない。

「排出削減対策を講じていない石炭火力発電の段階的削減」で合意した英グラスゴーでのCOP26から2年。段階的廃止とまではいかなかったが、エネルギー転換を前面に出した「化石燃料からの脱却」が成果文書に入った意義は大きい。

 成果文書によると(1)30年までに再生可能エネルギー発電容量を3倍、エネルギー効率の改善率を世界平均で毎年2倍にする(2)排出削減対策を講じていない石炭火力発電を段階的に削減する努力を加速する。

(3)21世紀半ばまでにゼロ・低炭素エネルギーを利用した排出ゼロのエネルギーシステムに向け努力を加速する(4)科学に基づき50年までにネットゼロを実現するのに極めて重要なこの10年に公正かつ公平で秩序だった形でエネルギーシステムの化石燃料から脱却する(5)再エネ、原子力、炭素除去、低炭素水素などゼロ・低炭素技術を加速する。