
(国際ジャーナリスト・木村正人)
「24年は23年とは違う年になる、そうしなければならない」
[ロンドン発]ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は12月26日、約30分間にわたって記者会見を開いた。
「より効果的に行動するための、より多くの人々を救うための解決策の90%を見つけた。兵器開発がもたらす戦術の変化により2024年は23年とは違う年になる、いや、そうしなければならない」
そう言って膠着するウクライナ戦争を戦い抜く決意を示した。
ザルジニー総司令官が会見するのは22年2月にロシア侵攻が始まって以来初めてのことだ。
「敵はわが軍に追いつきつつある。ウクライナ東部ドネツク州の激戦地マリンカは2年近く持ちこたえてきたが、通りごと、家ごとに敵に破壊されてきた。今日わが軍は町の北部に留まり防御線を準備しているが、この集落はもはや存在しないに等しい」
そう語り、ザルジニー総司令官は苦しい状況を明かした。
「わが軍は力の限りアウディーイウカを守るつもりだが、もし守る力が十分でないなら兵士たちの命を救う方が重要だ。バフムートであろうとアウディーイウカであろうと私たちは自分たちの領土を大切にしている。その力がある限り私たちは領土を守る。しかし、それが十分でない場合、兵士たちを救う方がいい」

ドネツク州の激戦地バフムートだけでなくアウディーイウカもマリンカも露チェチェン共和国の首都グロズヌイと同じように廃墟になりつつある。ザルジニー総司令官は「2~3カ月後にはアウディーイウカもバフムートのようになるかもしれない。侵略を止めるため敵兵の損失が何人必要か予測するのは難しい。敵があきらめるまで損失を増やし続ける必要がある」という。