1月2日、ウクライナの首都キーウがロシアのミサイル攻撃で甚大な被害を受けた。写真は同日、ミサイルで破壊された現場を訪れたビタリ・クリチコ・キーウ市長1月2日、ウクライナの首都キーウがロシアのミサイル攻撃で甚大な被害を受けた。写真は同日、ミサイルで破壊された現場を訪れたビタリ・クリチコ・キーウ市長(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「産科病院、住宅地が攻撃され、数十人が死亡、数百人が負傷」

[ロンドン発]米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は1月4日の記者会見でこう語った。

「年末年始の5日間、ロシアはウクライナに繰り返し空爆を行った。ドローン(無人航空機)やミサイルを使いウクライナ全土の都市や民間インフラを攻撃した。産科病院、ショッピングモール、住宅地が攻撃され、数十人が死亡、数百人が負傷した」

 ウクライナ空軍司令部のフェイスブックによると、年末年始に行われたロシア軍の空爆は次の通りだ。その中で、カービー氏のいう5日間とは12月29日から1月2日にかけての攻撃を指すとみられる。ロシア軍は大量のドローンや多種多様なミサイルを織り交ぜてウクライナ軍の防空システムを撃ち破る戦法をとっている。

 12月29日、36機のイラン製カミカゼドローン(自爆型無人航空機)シャヘド136/131と、少なくとも90発の空対地ミサイルKh-101/Kh-555/Kh-55、8発の長射程空対艦ミサイルKh-22/超音速空中発射巡航ミサイルKh-32、14発の長距離地対空ミサイルシステムS-300/S-400/短距離弾道ミサイル「イスカンデル」、5発の核弾頭搭載可能な極超音速空対地ミサイル「キンジャール」、4発の空対艦/対レーダーミサイルKh-31、1発の空対地/空対艦ミサイルKh-59が発射され、このうち撃墜できたのは27機のシャヘド136/131と87発のKh-101/Kh-555/Kh-55だけだった。

 12月30日、10機のシャヘド136/131が攻撃に使用され、5機を撃墜。

 12月31日、49機のシャヘド136/131と6発のS-300が発射され、このうち21機のシャヘド136/131を破壊。

 1月1日、90機のシャヘド136/131のうち87機を破壊。4発のS-300、3発のKh-31、1発のKh-59が命中。これとは別に9機のシャヘド136/131と1発のKh-59を撃墜。

 1月2日、35機のシャヘド136/131を破壊。70発のKh-101/Kh-555/Kh-55が発射され、うち59発を撃墜。キンジャール10発、巡航ミサイル「クラブ」3発を撃墜。イスカンデル12発、4発のKh-31も攻撃に使われる。

 1月4日、2機のシャヘド136/131を撃墜。

 1月5日、29機のシャヘド136/131による攻撃があり、21機を撃墜。

1月3日、キーウ近郊で、ロシア軍のミサイルと無人機攻撃を撃墜した防空部隊のウクライナ軍人たち1月3日、キーウ近郊でロシア軍のミサイルと無人機攻撃を撃墜した防空部隊のウクライナ軍人たち(写真:ロイター/アフロ)