ロシア軍によるミサイル攻撃は、2022年の酷寒期直前の攻撃に比べ、低調になってきていた。
ところが、ウクライナ空軍の発表によれば、2023年12月29日の未明から早朝にかけて、空から最も大規模な攻撃があったとしている。
各種ミサイルと自爆型無人機を複合させた飽和攻撃であった。
ミサイル122発と自爆型無人機36機を合わせると158機(発)だ。ウクライナは、そのうち114機を破壊した。
攻撃されたのは、重要なインフラ施設、産業施設、軍事施設であり、死者や負傷者が出ている。
市民が寝ている時間帯を狙っての残酷な攻撃であった。
今回のロシアのミサイル攻撃により、『真冬に集中するロシアのミサイル攻撃、今季は大きな変化』(JBpress 2023.12.25)の記事における、ロシアのミサイル発射数の推移グラフの「12月のミサイル発射数」の予測を修正した。
1.各種ミサイルと無人機を複合した飽和攻撃
ロシアの各種ミサイル等攻撃要領とウクライナ空軍公表の内容に補足説明を入れて、時系列で紹介する。
①最初、ロシアはイラン製「シャヘド 136/131」自爆型無人機36 機で、ウクライナの北と南東方向から攻撃してきた。
②午前3時頃(市民は眠っている時間帯)、「Tu-95MS」ベア戦略爆撃機18機を発進させて、いつも実施しているとおりに発射位置に移動し、午前6時頃、発射位置に到達。
その後、少なくとも90発の長射程巡航ミサイル「Kh-101」「Kh-555」「Kh-55」を発射した。
③午前5時頃、「Tu-22M3」バックファイア戦略爆撃機で、クルスク地域からウクライナの北部および中部地域に向けて高速空対地ミサイル「Kh-22」「Kh-32」×8発を発射した。
④同時に、対地用に改造している対空誘導ミサイル「S-300」「S-400」あるいは「イスカンデル-M」弾道ミサイル合計14発以上でハリコフを攻撃した。
ロシア占領下のクリミアおよびクルスク、ベルゴロド地域から発射した。
⑤午前6時30分、「MiG-31K」戦闘機5機が離陸し、アストラハン地域から「Kh-47M2」(キンジャール)航空弾道ミサイル5発を発射した。
⑥「Su-35」戦術機は、「Kh-31P」対レーダーミサイル4基と1基の「Kh-59」空対地ミサイルを発射した。
図1 各種ミサイルおよび無人機による攻撃、上空からのイメージ
図2 各種ミサイルおよび無人機による攻撃、側面からのイメージ
(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイトでお読みください)