(舛添 要一:国際政治学者)
自民党の派閥の政治資金パーティーの裏金疑惑で日本の政界に激震が走っている。派閥の政治資金集めパーティーで、ノルマ以上のパーティ券を売却した議員が派閥からキックバックを受け、それを政治資金収支報告書に収入として記載していなかったという問題である。安倍派や二階派が捜査の対象になっている。
私は、国会議員時代には一貫して無派閥であったが、派閥に所属する議員からは、パーティー券販売ノルマが厳しく、ノルマが達成できないと自腹を切らないといけないというぼやき節をよく聞いたものである。
岸田文雄首相は、安倍派の閣僚や党役員を更迭したが、それだけでは事態は収まりそうもない。東京地検特捜部は、松野博一前官房長官ら安倍派の幹部に任意の事情聴取を要請した。
猛烈だった舛添バッシング
私は都知事の2016年春に、国会議員時代の5年間に政治資金収支報告書の「支出」の項目に約30万円の記載ミスがあったことを問題にされ、マスコミによる一大バッシングを受けた。この件について、東京地検特捜部は捜査を尽くした結果、不起訴とした。私は、本件についてお詫びをし、反省し、都知事を辞任した。
私自身も、また私を擁護する論者も、説明も釈明も許されない雰囲気の中で沈黙を強いられてきた。
都知事となった私は国会議員時代の政治団体を閉じていたため、過去の記載ミスを訂正する術も無かった。普通は、30万円という金額からしても政治資金収支報告書を訂正すれば済むのであるが、それも不可能だったため、なおさら批判の嵐を受けたのである。
最終的には、都知事辞任後に福祉団体に寄付する形で処理したが、政治団体自体がなくなっていたという事情も重なったことを付記しておきたい。