ネタニヤフはホワイトハウスでの会談なし
クリスマス休暇を前にワシントンに「物乞い」に来た戦時下のウクライナとイスラエルの両首脳が成果なく、帰国の途についた。
一人は今年訪米3度目のウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、もう一人はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。
ネタニヤフ氏は、イスラム組織ハマスによる奇襲以後、9月2日、10月18日に次いで3度目のワシントン詣でだったが、今回はホワイトハウスにすら招かれなかった。
自他ともに認める米国との鉄壁の同盟関係にあるイスラエルだが、ネタニヤフ氏は奇襲に対する報復措置で1万8000人ものパレスチナ市民を無差別に殺害した張本人。
イスラエル贔屓の米国民もさすがに黙ってはおらず、今や米国民の31%が奇襲せざるを得ない状況に追い込んだイスラエルの対ガザ政策を批判、全米各地の大学キャンパスではパレスチナを支持する動きが出ている。
(www.businessinsider/democrats-sympathize-more-palestinians-israelis-for-first-time-new-study)
当初はイスラエル支持を前面に押し出していたバイデン政権もここにきて、イスラエルの報復行為やこれから対ガザ統治策を黙認できず、ネタニヤフ氏を冷遇した。
バイデン氏は、パレスチナ国家樹立を通じた和平実現を見据え、パレスチナ勢力のガザ統治への関与を提唱してきた。
ネタニヤフ政権はこれに真っ向から反対。無差別攻撃も国家存続のための正当防衛だとして、米国の助言を無視してきた。
ネタニヤフ氏は12月12日のビデオ演説で、交戦を続けるイスラム組織ハマスを打倒した後のガザ統治に言及して、こう強調した。
「ガザは、ハマスや(アッバス・パレスチナ自治政府議長率いる主流派)ファタハの土地にはならない」
「米国との間で、今回の戦争終結以後のガザ統治を巡って意見の相違はある。(1993年にパレスチナ暫定自治を認めたオスロ合意を引き合いに)イスラエルは、オスロの過ちを繰り返さない」
これに対し、ジョー・バイデン大統領は同日、ワシントン市内の政治資金集めの夕食会で、ネタニヤフ政権を真っ向から非難した。
「この政権は、イスラエル史上最も保守的な政府だ。(政権内の極右勢力は)パレスチナとの『二国家共存』を望んでいない。ネタニヤフ氏には変革が必要だ。イスラエルは今や国際社会の支持を失い始めている」
(whitehouse/remarks-by-president-biden-at-a-campaign-reception)
(reuters/middle-east/biden-israel-starting-lose-support-over-indiscriminate-bombing-gaza)
「米歴代大統領が公の場で、これほど強い表現でイスラエル首脳を批判したことはこれまでなかった」(米主要メディア外交記者)
(cnn./biden-israel-losing-support-netanyahu)