急速に支持率を上昇させているニッキー・ヘイリー元国連大使。トランプ氏もうかうかできなくなった(写真は11月20日、ニューハンプシャー州での集会で、写真:ロイター/アフロ)

マーガレット・サッチャーの遺言

「鉄の女」と呼ばれた英国のマーガレット・サッチャー元首相はかつてこう言ったことがある。

「何か政策を論じてもらいたければ、男性に頼みなさい。でも具体的な政策を実現してもらいたいならば、女性に頼みなさい」(1965年5月20日、英女性団体タウンズウィメンズ・ギルド全国会議での講演)

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 辛口な論考で知られるロサンゼルス・タイムズの女性政治コラムニスト、アニタ・チャブリ氏は、このサッチャー発言を引用してこう書いた。

「カマラ・ハリス(副大統領)とニッキー・ヘイリー(元国連大使)の言動を見逃してはいけません」

「男性同士の政治劇場ばかり見ていないで、大統領指名候補レースの帰趨を決める女性同士の闘いに注目しましょう」

 米メディアがジョー・バイデン(大統領)対ドナルド・トランプ(前大統領)、ロン・デサンティス(フロリダ州知事)対ギャビン・ニューサム(カリフォルニア州知事)の論争ばかりに気を取られているのを痛烈に皮肉った。

 2016年大統領選の時は、億万長者トランプ氏と競ったのは女性初の大統領候補ヒラリー・クリントン前国務長官だった。

 女性の政界進出を拒む「ガラスの天井」に挑戦したが、惜敗した。

 その天井を破るかもしれない2人の女性がハリス氏とヘイリー氏だ。しかも2人ともマイノリティ(少数民族)インド人移民の娘たちだ。

 その2人が「米全軍の最高司令官」の座を競い合い、今米国が直面している内政外交の重要政策について論議を戦わしているのだ。