首脳会談開催で険悪だった両国関係に改善の可能性やいかに(写真は2022年の11月14日バリ島での首脳会談、写真:AP/アフロ)

不気味な2024年を前に、賭けに出た独裁者

 ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席がサンフランシスコで11月15日に会談した。

 サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われた米中首脳会談は、2022年11月のインドネシア・バリ島での会談以来1年ぶり。習近平氏の訪米は6年半ぶりだ。

 太平洋の主役を自負する米中の首脳にとって、太平洋諸国の「自由で公正でオープンな経済システム」を堅持・促進する目的で結成されたAPECの首脳会議は出席せざるを得ない国際舞台である。

 自国がいかに太平洋圏の繁栄と安定に責任をもって貢献できる国家であるかを示す場だからだ。

 そして今年は、図らずも開催地は中国にとっては歴史的にも因縁のあるサンフランシスコ。

 習近平氏としては、この機会に訪米し、1979年の米中国交正常化後で最も複雑で危うい状態にある米中関係の是正を考えたのも頷ける。

 それに2024年の米大統領選に向けて米国内の政治情勢は流動的だ。台湾の総統選挙は来年1月に控えている。

 習近平氏としては、「不気味な2024年」を前に、米中関係の不安定な状況を少しでも是正するには、ここ数か月が勝負どころだと見たのだろう。

 一方、今年6月には習近平氏を「独裁者だ」と罵っていたバイデン氏は、この首脳会談で何を得ようとしたのか。

 ベテラン政治記者のマーチン・フラクウィッツ氏は、こう指摘する。

「米国が与野党とも反中ムード一辺倒の中で、バイデン氏としては台湾問題、半導体、合成オピオイドのフェンタニル製造・輸出取り締り、ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦闘など対中懸案で、一つでも習近平氏の譲歩を得られなければ、再選戦略に大きな躓きとなる」

「そうした中で世論を納得させる分かりやすい成果は何かと言えば、過去15か月一触即発状態にあった米中間の『危機回避メカニズム』の再始動にあった」

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