マルチタスク虫を退治する特効薬

 マルチタスク虫を退治する方法はシンプルだ。仕事に優先順位をつける「判断基準」を決めることだ。決して、上司に「優先する仕事の順番」を決めてもらおうと考えてはならない。

 マルチタスク虫が蔓延(まんえん)している現場は、上司も目の回るような忙しさで仕事をしていることが多い。その上司にも上司がいる。つまり、上司の上司に対する報告や対策立案で、多くのマネジャーはプレイングマネジャーであることが多い。自らも現場を助けるために仕事をしているので、上司のマルチタスクはさらにひどくなっているケースがほとんどだ。

「仕事の優先順位を決めること」と、「優先順位の判断基準を決めること」では全く異なるということを、特に理解する必要がある。優先順位を上司がイチイチ決めなければならないのは大変だが、前もって判断基準を現場の従業員と上司の間で合意しておくのだ。

(写真:Eviart/Shutterstock.com

 現場の従業員が集まり上司の立場になって、優先順位の判断基準を自ら考える。そして、その結果を上司と相談し、合意しておく。その優先順位に従っている限り、上司にイチイチおうかがいを立てる必要はない。現場は判断基準に従い自ら決めた優先順位通りに、粛々と一つひとつのタスクに集中して仕事を進めればいい。

 この「粛々と一つひとつのタスクに集中して仕事ができる」ということが、仕事の生産性を高めるうえで極めて大切だ。マルチタスク虫を退治すれば、職場はその理想の状況に近づいていく。